精度保証によるリミットサイクルおよびその吸引域の同定
九州大学数値解析セミナー
開催期間
2012.7.24(火)
15:30 ~ 17:00
15:30 ~ 17:00
場所
九州大学 伊都キャンパス 総合学習プラザ1階 工学部第10講義室
講演者
山本 野人 (電気通信大学 情報理工学研究科), 樋脇 知広 (電気通信大学 情報・通信工学専攻)
概要
常微分方程式で記述される力学系に対し, 周期軌道が存在すると予想される場合にその存在を精度保証法によって検証する手法を開発した. 同様の手法にP. Zgliczynskiによるものがあるが, これはPoincare写像のfirst return timeの算定にかなりの計算コストがかかる. 提案手法では, return time自体を未知数に組み込み, Poincare写像とPoincare Sectionへの射影とを組み合わせる事で簡潔なNewton形式を導く. これによってreturn timeがfirstであるかどうかを気にかける必要がなくなり, 自然な形で検証を行うことが可能となった.
また, 周期軌道が漸近安定である場合には, その吸引域に含まれる集合を同定する手法も開発した. この方法では, 精度保証法を用いて, Poincare 写像の不動点の近傍にリャプノフ関数を直接構成する. これによって, 常微分方程式の解が時間無限大で振動解に収束することを精度保証法によって証明することが可能になる.
講演では方法の解説のほか数値例を示し, その有効性を論ずる.