大規模計算での動的な数学表現の必要性について ~過渡現象数値計算から大規模広域分散計算機システム迄~
九州大学数値解析セミナー
開催期間
2012.6.12(火)
15:30 ~ 17:00
15:30 ~ 17:00
場所
九州大学伊都キャンパス 総合学習プラザ1階 工学部第10講義室
講演者
小林 泰三 (九州大学 情報基盤研究開発センター)
概要
計算機科学の発展により, 数値計算による科学的知見も飛躍的に増大している. 現在では, CPUコアの性能向上が頭打ちになり, 計算能力の向上がコア数を増やす事で実現せざるを得ない状況になっており,「京」に代表される様に, 計算環境の規模は拡大の一途を辿っている. しかしながら, それら大規模な計算環境を効率よく利用するためには未解決な様々な困難がある. それは, 計算アルゴリズムの範疇の外にも存在しており, 少数の計算機を利用している限りでは問題にならない様な, 微小な不確定要素が問題として顕在化する困難である. 平均故障間隔 (MTBF) に関連する耐障害性やOSのジッターなどがその典型例である. つまり, 計算アルゴリズムとしては計算の並列規模に対してスケールする計算対象であったとしても, 実際の大規模計算では実行が困難である場合が多い. 本講演では, この様な大規模計算に関わっている研究現場の様子を, 分子動力学や流体音計算などの過渡現象の数値計算から, 大規模広域分散計算環境としてのグリッドやクラウドの管理運用迄を取り上げて, 動的に現れる不確定要素への対応が共通した問題である事を紹介する.