常微分方程式の大域解に対する精度保証法について
九州大学数値解析セミナー
開催期間
2011.7.26(火)
15:30 ~ 17:00
15:30 ~ 17:00
場所
伊都キャンパス 総合学習プラザ1階 工学部第10講義室
講演者
山本野人 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科),張替将人 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報・通信工学専攻)
概要
常微分方程式の解を時間無限大の極限にいたるまで精度保証する方法を提案す
る.常微分方程式系が位相空間において漸近安定な不動点を持つ場合を考え,
この点に収束する解の精度保証を行う.検証の過程は2段に分かれる.
第1ステップでは,不動点の吸引域に含まれる集合を精度保証の方法によって同
定する.不動点を中心とする楕円領域を考え,縮小写像定理を用いて吸引域に
含まれるための十分条件を導出し,この条件を精度保証付き数値計算によって
確認する.この条件は,正不変集合の同定より厳しい条件となることに注意す
る.
第2ステップでは,与えられた初期条件もしくは境界条件を満たす解につい
て,Lohner法に基づく精度保証を行う.ある時刻Tにおいて,この解が第1ステッ
プで検証した楕円領域に含まれることがわかれば,時間無限大までの解の存在
とその存在範囲を証明したことになる.
講演では数値例にしたがって説明を行い,収束先がリミットサイクルになる場
合についてなど今後の発展に関するアイデアを述べる.