移流拡散問題に対する有限体積近似の一様収束性
九州大学数値解析セミナー
開催期間
2010.1.12(火)
15:30 ~ 17:30
15:30 ~ 17:30
場所
伊都キャンパス 総合学習プラザ1階 工学部第10講義室
講演者
齊藤 宣一 (東京大学 大学院数理科学研究科)
概要
有限体積法は,偏微分方程式の局所的な保存則に基づく離散化手法であり,移動や拡散効果を伴う方程式の数値計算に良く利用されている.有限体積メッシュが,有限要素メッュ(領域の単体分割)の双対メッシュとして定義される場合には,有限要素法の解析方法が利用でき,誤差解析等の理論的結果も多い.一方で,有限体積メッシュとしてVoronoi図(領域のVoronoi図分割)が採用できるが,この場合,有限要素法との直接の関係性は(一般には)見いだせず,あくまで有限体積法として解析を行わなければならない.実際,有限体積法の解析では,一般の許容メッシュを導入して,必ずしも有限要素メッシュとの双対性を前提としない流儀もある.しかしながら,その場合,線形問題に対してさえも,コンパクト性に基づく収束性の証明や,離散$H^1$ノルムでの誤差評価が行われているのみである.この講演では,一般の許容メッシュ上であっても,非負値性保存が成立するような系であれば,$L^\infty$ノルムでの最適誤差評価が得られることを,非定常移流拡散問題を例にして報告したい.