グラフゼータ函数と三種の表示
数理物理セミナー
開催期間
2022.11.24(木)
16:30 ~ 17:30
16:30 ~ 17:30
場所
IMIオーディトリアム(W1-D-413)
講演者
森田 英章 (室蘭工業大学)
概要
グラフゼータ函数の表示式に関する概説を行います. グラフゼータ函数は有限グラフに対して定義される形式的冪級数で, その研究は伊原康隆氏の1966 年の論文に, その源流を求めることができます. 当初は数論的な動機のもとに導入されましたが, その後 J. -P. Serre, 砂田利一, 小谷元子, 橋本喜一郎各氏により, 有限グラフに対する概念として定式化されるに至りました. その後も, H. Stark, A. Terras, D. Foata, D. Zeilberger, L. Bartholdi の海外勢や, また我国では佐藤巖氏により精力的な研究が行われています. そこでは, 様々な具体的設定のもとに定義されたグラフゼータ函数が考察の対象となってきました. そして, それらの研究で扱われているグラフゼータ函数には, 「指数表示」, 「オイラー表示」, 「橋本表示」と現在よんでいる3種類の表示式が, 常になんらかの形で現れることが観察されます. この講演では, グラフゼータ函数の一般的な定義を与え, そこではこれらの3種類の表示が同値な表示式になっていることを解説し, さらにグラフゼータ研究において一貫して中心問題でありつづけている「伊原表示」とよばれる4種類目の表示との関係について述べたいと思います.