組織・沿革
組織
九州大学の教育・研究組織は、教員の研究組織である研究院、研究所や研究センターと、学生の教育組織である学部・学府(大学院)から成り立っています。九州大学において数学に関する教育組織は、学部では理学部数学科、大学院では数理学府があり、そこでの教育は、数理学研究院、マス・フォア・インダストリ研究所、基幹教育院に所属する教員が担当しています。
数理学研究院は、数学とその関連分野の教育・研究に携わる40名弱の教員を構成員とする教員組織です。マス・フォア・インダストリ研究所は2011(平成23)年4月に発足した、30名弱の教員が在籍する産業数学の新しい研究所です。両者は緊密な関係を保ちながら、九州大学の数学に関連するハイレベルな教育・研究活動を支えています。マス・フォア・インダストリ研究所については、Webサイト(https://www.imi.kyushu-u.ac.jp/)をご覧ください。
数理学研究院は教育活動として、理学部数学科や大学院数理学府を全面的に担当しているほか、微分積分や線形代数などを始めとする多くの全学教育科目や、工学部の数学関連専門科目、システム情報科学府、システム生命科学府での大学院教育など、九州大学の数学および数学に関連する教育を担当しています。
研究活動については、数学および関連分野の広い専門領域をカバーする高いレベルの活動が活発に行われており、日本有数の数学研究拠点となっています。また、国内外の大学・研究機関・企業との研究・教育・人事交流を活発に行っています。
理学部数学科と大学院数理学府では、数理学研究院とマス・フォア・インダストリ研究所所属の教員の活発な研究活動に支えられ、日本トップレベルの数学教育が行われています。理学部数学科では綿密な基礎数学教育に基づき,伝統的な数学教育と共に産業への応用を目指した数学教育も積極的に行われているのが特色です。数理学府の修士課程では、現代数学の理論を探求し、数学の研究能力の基盤を養成する数理学コースに加えて、幅広い数学の基礎を身につけて産業界における研究開発マネージメントやコーディネートを担う人材育成を行うMMAコースが設置されています。2022(令和4)年度に、数理学府はシステム情報学府、経済学府と連係してマス・フォア・イノベーション連係学府を設置しました。マス・フォア・イノベーション連係学府では数学を基盤として異分野や産業界との共創を目指す研究教育を行います。詳しくはWebサイト(https://www.jgmi.kyushu-u.ac.jp/)をご覧ください。
沿革
理学部数学教室は、1939(昭和14)年4月に箱崎キャンパスでの理学部開設と同時に「代数学及び位相数学」講座と幾何学講座の2講座(*1)で発足した。当初は理学部に於ける数学教育を担当しており、理学部数学科の学生の募集が開始されたのは1942(昭和17)年からである。
理学部数学教室は以後漸次拡充され、1976(昭和51)年5月には代数学講座、幾何学講座、解析学講座、関数解析学講座、位相数学講座の純粋数学コース5講座、統計数学講座、計画数学講座、計算数学講座、数理解析学講座の情報数学コース4講座という、純粋と応用が均衡する特色ある研究教育体制を取るに至った。その中で、工学部応用理学教室、教養部数学教室に所属する数学教員と合同する「数学部」構想が三つの教室内に持ち上がり、1994(平成6)年4月にこの構想が九州大学に於ける『大学院重点化』の導入により数理学研究科として実現した。
数理学研究科は代数学、幾何学、解析学、離散数学、数理システム、非線形数理、計算数理、社会数理の8講座(*2)で発足し、三つの分室、理学分室、工学分室、六本松分室を置いた。2000(平成12)年4月には、数理学研究科は九州大学に於ける『学府・研究院制度』の導入により教育組織である数理学府と研究組織である数理学研究院に再編され、2009(平成21)年に三分室を解消する形で伊都新キャンパスに移転した。
2011(平成23)年には、4月に数理学研究院の約1/3の教員がマス・フォア・インダストリ研究所に異動し、10月には別の教員数名が基幹教育院に異動した。現在、数理学研究院はマス・フォア・インダストリ研究所および基幹教育院に所属する数学教員と協同して、九州大学全体の数学教育を担っている。
年表
理学部数学教室
- 1939(昭和14)年4月
- "代数学及び位相数学" 講座と幾何学講座の2 講座で数学教室が発足
- 1940(昭和15)年4月
- 解析学講座を増設
- 1942(昭和17)年
- 理学部数学科の学生の募集を開始
- 1943(昭和18)年7月
- 応用解析学講座を増設
- 1943(昭和18)年11月
- 統計数学講座を増設
- 1945(昭和20)年4月
- 福岡県立浮羽工業学校に疎開
- 1946(昭和21)年早春
- 久留米の旧陸軍48 連隊跡に移転
- 1949(昭和24)年4月
- 大学院理学研究科数学専攻を開設
- 1950(昭和25)年4月
- 箱崎キャンパスに復帰
- 1962(昭和37)年4月
- 計画数学講座を増設
- 1963(昭和38)年4月
- 計算数学講座を増設
- 1965(昭和40)年
- "代数学及び位相数学" 講座、幾何学講座、解析学講座、応用解析学講座の4講座からなる純粋数学コースと統計数学講座、計画数学講座、計算数学講座の3 講座からなる統計数学コースの2 コースを導入
- 1974(昭和49)年4月
- "代数学及び位相数学" 講座と応用解析学講座の2 講座を代数学講座と関数解析学講座の2 講座に再編
- 1975(昭和50)年4月
- 純粋数学コースに位相数学講座を増設
- 1976(昭和51)年
- 統計数学コースを情報数学コースと改称
- 1976(昭和51)年5月
- 情報数学コースに数理解析学講座を増設
- 1979(昭和54)年
- 箱崎キャンパスに理学部3 号館が完成し、位相数学講座と情報数学コースの4講座が移転
- 1994(平成6)年4月
- 工学部応用理学教室、教養部数学教室の数学教員と合同して数理学研究科が発足
大学院数理学研究科,
大学院数理学府 / 研究院
- 1994(平成6)年4月
- 数理学研究科が代数学、幾何学、解析学、離散数学、数理システム、非線形数理、計算数理、社会数理の8 講座で発足し、同時に理学分室、工学分室、六本松分室の三つの分室を設置
- 2000(平成12)年4月
- 数理学研究科を研究組織である数理学研究院と教育組織である数理学府に再編
- 2006(平成18)年4月
- 数理学府博士課程に数理学コースと機能数理学コースの2 コースを導入
- 2007(平成19)年4月
- 数理学研究院に数学部門と数理科学部門の二つの部門を設置
- 2009(平成21)年4月
- 数理学府修士課程に数理学コースとMMA コース(*3)の2 コースを導入
- 2009(平成21)年10月
- 伊都キャンパスに数理学研究教育棟が完成し、三つの分室を解消する形で数理学府/研究院が移転
- 2015(平成27)年10月
- 伊都キャンパスにウエスト1号館(総合研究棟(理学系))が完成し、数理学府/研究院が移転
- 2023(令和5)年 4月
- 数理学研究院の数学部門と数理科学部門を再編して、代数幾何部門と解析部門を設置。数理学研究院数理学府博士課程の機能数理学コースを数理学コースに統合
これまでの特徴ある教育プログラム
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九州大学リーディングプログラム『キーテクノロジーを牽引する数学博士養成プログラム』では、グローバル社会において現代数学を知識基盤にリーダーシップを発揮して活躍する数学博士"数理ナビゲータ"を育成します。
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本学府博士課程の教育研究プログラムは、産業界での未来技術の数学基盤を創成する試みであり、グローバルCOE (Center of Excellence)(平成24年度終了)に選ばれました。
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本学府修士課程の教育プログラム「産業技術が求める数学博士と新修士養成プログラム」(平成21年度終了)が大学教育改革の「GP」(Good Practice, 優れた取組)の大学院版に選ばれました。