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日本学術振興会特別研究員(PD)の村上 友哉さんが2025年度日本数学会賞建部賢弘特別賞を受賞

研究活動 数理学研究院 広報

日本学術振興会特別研究員(PD)の村上 友哉さん(受け入れ:金子 昌信 数理学研究院教授)が2025年度日本数学会賞建部賢弘特別賞を受賞しました
業績題目:量子モジュラー形式の研究
英文題目:Research on quantum modular forms
https://www.mathsoc.jp/publicity/takebe2025.html

受賞者のコメント:
この度は大変栄誉ある賞を頂き、身に余る光栄です。

私が量子モジュラー形式という数論・トポロジー・数理物理にまたがる対象を研究することになったのは、多くの方々とのご縁とご指導があってのことでした。

元々東北大の数学科に入ったときは数論をやるつもりは無かったのですが、担任をされた小林真一先生に教わって数論の楽しさを知りました。しかし小林先生が九大に移られ、4年セミナーでは数論と代数幾何どちらを選ぶか悩みました。その折、理論の中に具体例が息づく様子をありありと示す山内卓也先生の授業を目の当たりにして、この先生の下で学びたいと思い数論の道を決めました。そして山内先生に誘われるままにモジュラー形式という対象の面白さと豊かさを学んでいきました。M1のときには研究集会で松坂俊輝さんという鮮烈にエネルギッシュな先輩と知り合い、研究のやり方など様々なことを教わりました。松坂さんからは、金子昌信先生が発見されたモジュラー関数のサイクル積分という対象も教わり、私の新たな研究テーマとなりました。これがきっかけで金子昌信先生にも目をかけて頂き、現在にいたるまで研究のヒントやアドバイスをたくさん頂き続けております。

それまで数論の中だけで研究していた私を、量子モジュラー形式というトポロジーや数理物理とまたがる対象へと誘ってくれたのが同期の森祥仁くんでした。彼にはトポロジーのこともたくさん教わりました。彼にこの分野を勧めたのは彼の指導教員である寺嶋郁二先生で、寺嶋先生とはその後共同研究もさせて頂きました。量子モジュラー形式は樋上和弘先生が先駆的な仕事を多くなされていて、たくさんのことを教わりました。

他にも、たくさんの先生方、先輩方、同級生、後輩に多くのことを教わりました。改めて、たくさんの方々のご指導や励ましがあって今の自分があると感じます。心から感謝申し上げます。