魅力にあふれた
未解決問題との対峙
微分方程式による未来予測
─どのようなきっかけで数学に興味を持ちましたか
高校の数学の授業で、「微分を使って関数の関係を表した『微分方程式』を用いると現在の情報から未来の状態を予測できる」という話を聞いてから、数学を深く学びたいと考えるようになりました。その後は理学部数学科に入学し、現在でも微分方程式の研究に携わっています。
研究への好奇心と数学の教育活動
─修士・博士修了時に就職が内定していたにも関わらず、博士後期課程に進学、研究者への道を選んだ理由を教えてください
研究者を目指す際は非常に険しい道のりを辿る場合があるということや、数学の社会貢献面への興味もあったことから、修士課程と博士後期課程の最終学年でそれぞれ一般企業への就職活動を行いました。
それらの活動の結果として得られた内定先の業務内容は大変魅力的なものでしたが、進路を決定する際に自分が携わってきた研究をさらに進めたいという好奇心と数学を学問として伝える教育に携わりたいという気持ちが強くなりました。
結果として現在は、充実した研究・教育活動に携われているため、私にとってはこの道を選んで正解だったと考えています。
流体の運動を記述する偏微分方程式
─大学院数理学府で研究していたことを教えてください
「偏微分方程式論」という分野を専攻しました。特に、大気や海洋といった大規模な流体の運動を記述する偏微分方程式について着目し、可解性が保障される関数空間や解の長時間挙動等を通して定量的に調べることで、方程式が持つ特徴的な性質を明らかにすることを目的とした研究を行いました。
困難点を全て突破し満足な結果が得られたときの喜び
─大学院数理学府で数学を研究する魅力を教えてください
大学院生となり研究活動に着手すると、「誰も解いたことのない未開の問題」と対峙することになります。どんな文献にも書かれいていないことにチャレンジするため、壁にぶつかることの方が多いですが、それらを一つずつ突破していく中で、課題を発掘して整理し解決する能力や粘り強く考える力を身に付けることができます。
また、困難点を全て突破し満足な結果が得られたときの喜びはなにものにも変え難いです。これらの大変貴重な経験ができることが大学院数理学府で研究をする魅力であると思います。
特に数学の研究では、上記の流れを厳密な論理のもと個人単位で遂行することが多く、自分自身が独自で終始完結させる満足感を味わうこともできる良さがあります。
自分の研究室で未来の数学者を育てる
─これから実現したい目標・将来の展望を教えてください
私が興味を持っている流体偏微分方程式の分野では、魅力にあふれた重要な未解決問題が多く存在します。今後はそれらの問題への理解を深め、解決への一助となるような研究を進めたいと考えています。
また、将来的には自分の研究室から未来の数学者となる学生を輩出できるようになりたいと思っています。
様々な専門分野と多くの数学研究者
─九大数理の良いところを教えてください
九大数理には大変多くの数学研究者が所属しており、それぞれの研究者の専門分野も様々です。このような環境で数学を学べたことは私にとって、様々な視点からの理解を育むとともに自分にあった専門分野を選択しやすく、大変贅沢な経験ができたと思っています。
また、九大数理に所属するスタッフは、数学の質問に大変丁寧な回答をしてくださる先生や手厚いフォローをしてくださる事務員の方々が多く、恵まれた数学生活を送ることができます。
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わたしが九大数理を選んだ理由